医療情報サイト「メディカルトリビューン」さんの連載「みんなで肺がん注目論文 徹底検証しちゃいました」の紹介です。この企画は肺がん診療に重要な論文を、第一線で活躍される先生方とわたくしキュート先生で徹底的に検証しよう、という内容になっています。
連載第5回目は論文の筆頭著者で近畿大学内科学腫瘍内科部門医学部講師の谷﨑潤子先生氏、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科講師の古屋直樹先生(現在留学中)に解説を頂きました。
原発不明がんに対するニボルマブの効果は?
Open-label phase II study of the efficacy of nivolumab for cancer of unknown primary(Ann Oncol 2022;33:216)
既治療群におけるORRは22.2%(95%CI 11.2~37.1%)
奏効期間中央値は12.4カ月(範囲2.8~>8.4カ月)。
無増悪生存(PFS)中央値は4.0カ月(95%CI 1.9~5.8カ月)
6カ月時点でのPFSは32%。
全生存(OS)中央値は15.9カ月(同8.4~21.5カ月)
6カ月時点でのOSは73%。
未治療群におけるORRは18.2%(95%CI 2.3~51.8%)
奏効期間中央値は3.7カ月(範囲2.3~5.1カ月)。
PFS中央値は2.8カ月(95%CI 1.1~6.5カ月)
6カ月時点でのPFSは27%。
OS中央値は未到達(95%CI 2.6カ月~未到達)
6カ月時点でのOSは73%。
PD-L1発現率、TMB、MSIといったバイオマーカーで
治療効果が予測できる可能性が示された点は、
実臨床の現場でも注目すべきポイントと考えることができます。
十分な他がん種の検索が行われた後に
「CUP」として診断されていますが、
医療機関によっては各臓器の専門医が不在であったり、
十分な組織学的/画像的検索が容易にできなかったりと
往々にして「CUP」とされてしまう可能性は否めません。
市中病院でのがん診療の質を保つことは
重要であることは言うまでもありません。
ぜひ谷﨑先生、古屋先生との徹底検証を
多くの肺癌診療に携わる医療者に読んで頂きたいと思っています。