『Evaluation of a clinic-based screening program for lung cancer with a case-control design in Kanagawa, Japan』(Lung Cancer 1999;25:77)より
まとめ
- 40歳以上は胸部X線による年1回の肺がん検診と、高危険度群に対するX線+喀痰細胞診は死亡率減少効果を示す
キュート先生の視点
日本の『肺癌集団検診ガイドライン』では
・非後期検群に対する胸部X線検査、および高危険群に対する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法を用いた肺癌検診は死亡率減少効果を示す相応の証拠があるので行うよう勧められる。ただし、二重読影、比較読影などを含む標準的な方法が行われている場合に限定される。
と胸部X線検査および一部の患者さんで喀痰細胞診が推奨されています。
-40歳以上で年1回:胸部X線
-50歳以上で喫煙指数(喫煙本数×年)≧600:胸部X線+喀痰細胞診
-40歳以上で6カ月以内に血痰あり:胸部X線+喀痰細胞診
が本邦の肺癌検診として行われています。
本論文でも40-74歳を対象に、健診を受けた群193例と対照群579例が比較されており、死亡率の減少を認めております(オッズ比 0.535)。
その後、宮城、新潟、岡山で2001年に報告された同様の臨床試験でも肺癌検診の有用性が示される結果となっております。
現在、年々「肺癌検診」の受診率は上がってきておりますが、2019年のデータで男性:53.4%、女性:45.6%とまだまだ100%受診には程遠い状況[図1]です。
住民健診型の肺癌検診として、がん死亡率を下げることが目的とされて行われておりますので、該当する全国民に「肺癌検診」をぜひ受けて頂きたいと切に願っております。