キュート先生の『肺癌勉強会』

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【NJLCG1601】EGFR陽性非小細胞肺癌に対する低用量アファチニブ

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『Phase II Study of Low-Dose Afatinib Maintenance Treatment Among Patients with EGFR-Mutated Non-Small Cell Lung Cancer: North Japan Lung Cancer Study Group Trial 1601 (NJLCG1601)』(Oncologist 2020)より

まとめ

  •  EGFR陽性非小細胞肺癌に対し毒性の有無で減量を認めたアファチニブ治療で1年PFS率50%、PFS中央値11.8カ月

要約

 〇EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌30例に対して初回EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)としてアファチニブ(ジオトリフ®)40mgを開始した30例を登録した前向き試験。

〇CTCAEグレード2以上の有害事象、グレード3以上の皮疹、あるいは許容できない有害事象が起きた際にアファチニブの用量を40mg→30mgへ、必要に応じて30mg→20mgへ減量した。

〇主要評価項目は1年次の無増悪生存率、副次評価項目は無増悪生存期間、奏効率、毒性とした。

〇30例のうち93%は腺癌。53%はエクソン19deletion、37%はエクソン21 L858R変異、10%はマイナー変異であった。

主要評価項目の1年次の無増悪生存率は50%。

無増悪生存期間PFSの中央値は11.8カ月。

〇グレード3以上の有害事象発生率は57%。

キュート先生の視点

 EGFR陽性非小細胞肺癌の1次治療としてアファチニブを導入するも、下痢などの消化器症状や、皮疹や爪囲炎などの有害事象から治療薬の減量を余儀なくされた経験は呼吸器内科医であれば誰しも経験があるのではないでしょうか。

特にアファチニブの1次治療での臨床試験である『LUX-Lung3試験』『LUX-Lung6試験』でのポストホック解析ではアファチニブの用量を減量した群と減量しなかった群で無増悪生存期間に差を認めなかったとの結果が報告されており、なるべくなら有害事象の少ない用量を実臨床では選択したいと考えています。

今回、仙台厚生病院の中村先生が報告した本研究『NJLCG1601試験』ではグレード2以上の有害事象やグレード3以上の皮疹で必要に応じて、アファチニブの用量を40→30→20mgと減量できる実臨床に即した試験デザインです。約2/3の症例で20mgまで減量したにもかかわらず、1年次の無増悪生存率50%、PFS中央値11.8カ月というのは期待できる数字と考えられます。『LUX-Lung3試験』での1年次の無増悪生存率が45%、PFS中央値が11.1カ月ということを考えても全く遜色ない結果で誌た。

また『LUX-Lung3試験』での日本人サブセット(Cancer Sci 2015;106:1202)では約70%の症例にグレード3以上の有害事象を認めておりましたが、本研究では57%まで抑えることができたことも特徴的です。

この結果を踏まえて、もしEGFR陽性非小細胞肺癌に対してアファチニブで治療を開始する際には有害事象にアンテナを張り、敷居を低くして用量の減量を検討されてみてはどうでしょう。EGFR陽性非小細胞肺癌の治療戦略としては用量を減量してでもEGFR-TKIの継続が大事と考えます。