医療情報サイト『Medical Tribune』に「新型コロナウイルス×がん診療」の内容で3つの論文レビューについて動画で寄稿しました。
2020年7月末現在、首都圏を中心に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が再度拡大している状況です。多くのがん診療に携わっている医療従事者の方々も、各医療機関で感染対策を行いながら慎重に診療に当たっているものと思います。
今回はCOVID-19と肺癌に関連する3つの論文
-『Cancer Patients in SARS-CoV-2 Infection: a Nationwide Analysis in China』(Lancet Oncol 2020)
-『Clinical Impact of COVID-19 on Patients with Cancer (CCC19): a cohort study』(Lancet 2020)
-『COVID-19 Mortality in Patients with Cancer on Chemotherapy or Other Anticancer Treatments: a Prospective Cohort Study』(Lancet 2020)
を取り上げて簡単に解説しました。
当ブログ『肺癌勉強会』でも取り上げたことのある論文も含まれます。
論文が書かれた時期、各国の医療状況や社会的な背景を確認する必要があり、全ての結果が日本の医療現場やがん診療に当てはめられるわけではありませんので注意して解釈する必要があります。
多くの報告で、がん症例のCOVID-19発症は重症化/死亡リスクががんのない症例と比較して、ほぼ一貫して高いことが言えます。
実臨床では、社会情勢を鑑みて各症例ごとに柔軟に考える必要があり
-強い骨髄抑制が予想されるような抗がん剤
-頻回の病院受診が必要な治療レジメン
-感染拡大下での侵襲度の高い手術
等に関しては状況を見て十分に検討が必要であると考えます。
最後に多くの医療機関では危機感を持って診療に当たられていることと思います。まず医療従事者、そしてそのご家族の健康と安全を確保したうえで、ご無理のないような診療体制の構築を引き続きお願い致します。
そして今後もがん患者さんに不利益のないように日々勉強しながら、各部署と連携を取りつつ診療を進めていきたいと思っています。