『Real-world use of osimertinib for epidermal growth factor receptor T790M-positive non-small cell lung cancer in Japan』(JJCO 2020;50:909)より
まとめ
- T790M陽性非小細胞肺がんの2次治療以降でのオシメルチニブの有害事象報告は58.1%
要約
〇日本の実臨床でオシメルチニブの報告された有害事象を調査した。
〇T790M耐性遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんでの2次治療以降でのオシメルチニブ症例を2016年3月から2018年8月まで集積した。
〇安全性解析での症例群3578例の観察期間の中央値は343日。
〇主治医あるいはメーカーがオシメルチニブの因果関係を否定できなかった有害事象については58.1%で報告された。
〇報告された主な有害事象は
-間質性肺炎 6.8%(グレード3以上 2.9%、グレード5(死亡例) 0.8%)
-QT延長 1.3%(グレード3以上 0.1%)
-肝機能障害 5.9%(グレード3以上 1%)
-血液毒性 11.4%(グレード3以上 2.9%)
であった。
〇有効性解析での症例群3563例では
-CR 3.3%
-PR 66.6%
-SD 16.8%
〇無増悪生存期間の中央値は12.3カ月、6カ月時の無増悪生存率は77.4%、12カ月時の無増悪生存率は53.2%。
〇6カ月時での全生存率は88.3%、12カ月時での全生存率は75.4%。
キュート先生の視点
第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるオシメルチニブ(タグリッソ®)は本邦では現時点で2次治療以降に使用する場合には組織あるいは血漿検体でT790M耐性遺伝子変異の検出が求められています。
本研究と比較すべきは『AURA3試験』です。単純な比較検討はできませんがORR 71%であり日本のリアルワールドデータとほぼ一致、PFSは10.1カ月と本邦のデータの方が分がありました。
実臨床では高齢者やPS 2以上でも使用している可能性がありますし、わずかな間質影が認められる場合にも、よく相談の上で投与しているケースもあるのではと思われますが、ADRsの報告も想定範囲内だったものと考えます。