キュート先生の『肺癌勉強会』

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【UVEA-Brig】ALK阻害薬により既治療のALK陽性転移性非小細胞肺がんに対するブリグチニブのリアルワールドデータ

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『Real-world treatment outcomes with brigatinib in patients with pretreated ALK+ metastatic non-small cell lung cancer』(Lung Cancer 2021;157:9)より

まとめ

ALK阻害薬で既治療のALK陽性転移性非小細胞肺がんにおいて、ブリグチニブは奏効率 39.8%、無増悪生存期間 11.3カ月、全生存期間 23.3カ月

要約

〇次世代ALK阻害薬であるブリグチニブはALK阻害薬で未治療のALK陽性非小細胞肺がんにおいても、クリゾチニブで既治療の症例においても効果が示されている。

〇第2相試験では、クリゾチニブで病勢増悪したALK陽性の転移性非小細胞肺がん症例においてブリグチニブは奏効率 56%、無増悪生存期間の中央値 16.7カ月、全生存期間の中央値 34.1カ月という結果であった。

〇実臨床においてALK阻害薬で治療後のALK陽性転移性非小細胞肺がんに対するブリガチニブの臨床試験『UVEA-Brig試験』のデータを解析した。

〇本研究はイタリア、ノルウェー、スペイン、UKでの後ろ向き研究。

〇ALK陽性転移性非小細胞肺がんで、脳転移のある症例、1つ以上のALK阻害薬に治療抵抗性でありECOG-PS 0-3の症例が含まれる。

〇症例は7日間のブリグチニブ90mgのリードイン期間の後、180mg1日1回投与された。

〇症例は104例で、男性 43%、年齢の中央値 53歳、中枢神経系の転移は63%であった。

〇ブリグチニブによる治療の前に中央値で2ラインの全身性の治療を受けており、37.5%は3ライン以上治療されていた。

〇先行するALK阻害薬による治療はクリゾチニブ 83.6%、セリチニブ 50.0%、アレクチニブ 6.7%、ロルラチニブ 4.8%であった。

〇解析時に77例がブリグチニブによる治療を中止されていた。

〇全症例において、

 -奏効率 39.8%

 -無増悪生存期間 11.3カ月

 -全生存期間 23.3カ月

という結果だった。

〇4例が有害事象が原因でブリグチニブが中止されていた。

〇ブリグチニブ後に53例が全身性の治療を受けており、42例がALK阻害薬を投与されていた。

キュート先生の視点

ブリグチニブでもリアルワールドデータが出ました。

ただ現状の日本のALK陽性非小細胞肺がんに当てはめることができるか、と言われると疑問があります。

ブリグチニブのデータに関しては過去にもブログ『肺癌勉強会』で何回か取り上げさせて頂きました。

現在の『肺癌診療ガイドライン2020』では現時点でALK陽性進行非小細胞肺がんにおいて、ブリグチニブは2次治療以降に位置づけされております。

今後は実臨床に即して、アレクチニブ既治療後のデータが欲しいな…と思っています。